ブランドにんじん「ふかうら雪人参」とは


「ふかうら雪人参」は、青森県深浦町の農事組合法人舮作(へなし)興農組合が栽培している雪の下から収穫される「にんじん」で、野菜とは思えないフルーティな甘さが特徴です。
深浦町は、本州最北に位置する青森県の日本海に面する人口約1万1千人の農業と漁業と観光の町です。 「ふかうら雪人参」は、町が誇る特産品で、平成20年8月、町の逸品を守り広く伝えていくことを目指し、「ふかうら雪人参」という名称を商標登録して、名実ともに町のブランド「にんじん」が誕生しました。
「ふかうら雪人参」の畑は、世界最大級のブナの原生林を誇る世界遺産「白神山地」の麓、標高180m〜200mの日本海を見下ろす高台に広がっています。
日本海からの潮風が薫る約200haもの農場は、自然の森が育んだ肥沃でミネラル成分が多い土地にありますが、この農場では、定期的に「えん麦」を植えて土に丹念に鋤き込む緑肥という方法を用いることにより、自然がもつ力を活かして、野菜づくりに必要な養分をしっかりと蓄えた健康な土づくりに取り組んでいます。
この農場では、「だいこん」、「ばれいしょ」、「にんじん」の根菜類を栽培しています。 「にんじん」は「はまべに」という品種で、夏に植え、秋に収穫できるまでに育ったものを、そのまま土の中で眠らせ、雪が積もり始める12月から3月までの冬期間、一本一本手作業で収穫されます。
冬に収穫することにより、「にんじん」自体がもつ、寒さでも凍らないよう身を守る生理機能が働いて糖分が蓄えられ、野菜とは思えないフルーティな甘さをもった「ふかうら雪人参」が生まれます。 収穫直後の「にんじん」は、糖度9度前後、高いものでは12度を超えるものもあります。また、一般的に時間とともに野菜の水分は蒸発しますから、その分糖度はさらに上がっていくこととなります。
メディア掲載履歴
2009年2月9日 | おもいッきりイイ!!テレビ | 日本テレビ |
2009年1月26日 | おはよう日本ニュース・まちかど情報室 | NHK |
2005年2月15日 | 青い森の国から | ATV青森放送テレビ BS-i |
「ふかうら雪人参」の甘さの秘密
「にんじんってこんなに甘いんだ!」
「ふかうら雪人参」を生ジュースで飲んだとき、誰しも思わず口にしてしまう言葉です。
普通は秋に収穫するにんじんを冬の期間に雪の下から掘り上げる「ふかうら雪人参」。
「にんじん」が甘くなる秘密は、寒さから身を守るために糖分を蓄えるためです。
でも、「ふかうら雪人参」の甘さには、食べるだけではわからない秘密があります。
それは、「ふかうら雪人参」が収穫されるまでの3つの鍵、「健康な土づくり」、「雪の布団」、「寒風の中での厳しい手作業」の中に秘められています。
健康な土づくり

野菜が健康に育つためには、健康な土が必要です。
植物は、根から栄養を吸収するので、土の中に窒素やミネラルといった養分とこれらを吸収する手助けをするための微生物の働きが不可欠です。
健康な土とは、適度な養分と微生物の働きで、植物の健全な成長を促してくれる土のことです。
このような土をつくるために、この農場では、有機肥料を使用し、にんじん、だいこん、ばれいしょ等の根菜類を中心に緑肥栽培を組み入れた輪作を行うことによって、定期的に土を休ませ、自然の力で地力を養っています。
農薬の使用量についても、北国では害虫の多くは冬を越せないので、南の地域よりもともと農薬の使用量は少ないのですが、この農場では、健康で安全な野菜づくりを目指し、地域で通常使われる半分以下の量に農薬の使用を抑えており、平成19年3月に青森県からエコファーマーに認定されています。
さらに、深浦町では、土壌検査施設を整備し、農家の土づくりを支援しています。この農場の土も定期的に分析しており、成分を測定して、適切な肥料や農薬の使用を指導する体制ができています。
「ふかうら雪人参」は、世界遺産白神山地の麓の肥沃な土壌、自然の力を利用する農家の知恵、科学的な分析に基づいた土づくりの指導に支えられています。
雪の布団

「ふかうら雪人参」は、冬の寒さによって甘さを増します。
しかし、氷点下が続く厳寒期に「にんじん」を凍結から守ってくれるのは、雪の布団です。
冬の日本海を渡ってくる西風は、寒気をもたらし、白神山地にぶつかり雪を降らせますが、海岸沿いの丘陵に広がる農場では、風にあおられて、収穫ができないほど雪が深く積もることはありません。
また、適度な雪が積もることによってその下はほぼ零度に近い温度で安定し、土の中は凍結せず、「にんじん」が糖分を蓄えるのに適した温度に維持されます。
西風、積雪、気温といったこの地の特有の風土が、「ふかうら雪人参」を育むための欠くことのできない条件となっています。
寒風の中での厳しい手作業

厳寒の日本海から吹き渡ってくる風は、容赦なく体温を奪っていきます。
「ふかうら雪人参」の収穫作業は、遮るものもほとんどない広大な農場で、冷たい痺れるような西風にさらされながら、かじかむ手で一本一本、「にんじん」の土を落としては、篭にいれるという単調で、気の遠くなるような地道な作業の繰り返しです。
雪を除け、「にんじん」が眠っている土を掘りおこすところまでは機械でできますが、雪と混じって粘り気をもった土を、「にんじん」を傷つけないように取り除くためには、一本一本、手で擦りとるしかありません。
「ふかうら雪人参」の甘さは、白神の豊かな自然、健康な土、厳しい寒さというこの地特有の風土に育まれたものですが、農家のひとの寒風の中での厳しい手作業があるからこそ、私たちの手元に届きます。
「ふかうら雪人参」の甘さには、厳しい寒さに耐えながらも黙々と手作業を続ける農家の人たちの苦労とこの地への愛着がいっぱいに詰まっています。
「ふかうら雪人参」の収穫作業は、雪が積もりはじめる12月から、春の日差しに雪が溶けはじめる3月まで続きます。